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AI OCRとは?OCRとの違いやメリット、事例を紹介

データ入力2024.10.01 []

文書のデータ化を内製化したい場合におすすめなのが、AI OCRです。機械学習技術を活用したツールで、さまざまな書類を文字データ化するのに役立ちます。非定型文書や手書き文字の含まれる書類の文字データ化には、特におすすめのツールです。

 

本記事では、AI OCRとは何か、また従来のOCRとの違いなどを詳しく解説します。導入事例も紹介しますので、これからAI OCRを導入すべきか悩んでいる方はぜひご覧ください。

 

 

AI OCRの意味と特徴

 

AI OCRの意味と特徴

 

AI OCRは、効率よく紙資料をデータ化するのに便利なツールです。以下では、AIR OCRの意味と特徴を解説します。

 

 

 

OCRとは


OCRとは「​​Optical Character Recognition(Reader)」の略で、光学文字認識を意味します。OCRではまず読み取った画像から、文字がどのように配置されているかを解析します。そして1文や1文字ごとに画像情報を分割し、どんな文字かを解析するという仕組みです。

 

解析では「線の角度」「形状」「線の交差の仕方」など、1文字ごとの特徴から文字を特定します。また、文章の流れや熟語・単語情報などを参照しながら、より適した文字は何かを解析するツールも多くあります。

 

ただし、OCRは定められたルールを基に読み取り作業を行うので、精度に限界があります。また、読み取り位置や文章情報について事前に定義しなくてはなりません。こうした精度や事前設定などに関する課題を解消したのが、AI OCRです。

 

 

 

 

 

AI OCRとは


AI OCRとは、人工知能技術を活用した文字解析ツールです。精度向上やレイアウト判定などにAIの技術を活用しています。これまではOCRとは異なり、文字を学習させるだけどんどん精度が向上していきます。また、AIが読み取り位置や項目について自動判定できるので、従来のOCRのような事前設定の手間がかかりません。

 

AI OCRが得意なのは、手書きの書類や、非定型文書などのスキャンです。従来型だと、書類フォーマットを事前に登録する必要があり、さらに手書き文字や装飾付き文字だと読み取りが難しいケースが多くありました。しかし、AI OCRは学習機能によって文字情報を適切に読み取れるので、さまざまな書類に対応できます。

 

 

 

 

AI OCRのメリット

 

AI OCRのメリット

 

AI OCRのメリットは、読み取り精度が高いことです。また業務システムとの連携がしやすいのもメリットとなっています。以下では、AI OCRのメリットを3つのポイントで解説します。

 

 

 

精度が高い


AI OCRは、これまでのOCRよりも読み取り精度を高めやすくなっています。従来のOCRだと、ツールのロジックを変更したりデータベースをアップデートしたりしないと、読み取り精度を向上できませんでした。使っていくうちに読み取り精度が自然と上がることはなかったのです。しかし、AI OCRは読み取りデータを記憶して、精度向上に役立てられます。たくさんの画像を文字データ処理すればするほど、どんどん読み取り精度が高まるのです。

 

また、認識率が高いのもAI OCRの特徴です。これまでのOCRだと、フォントや装飾、背景情報などさまざまな要素に影響を受けて、文字を認識できないケースがありました。しかし、AI OCRは文字が近すぎたり枠線があったりしても、問題なく読み取れます。手書き文字にも対応しているので、アンケート用紙や個人情報資料などを読み取るのにも適しています。                   

 

 

 

 

 

あらゆる帳票に対応


あらゆる記帳の読み取りに対応でき、業務効率が向上するのもAI OCRのメリットです。従来型のOCRでは、フォーマット情報を事前に登録する必要がありました。画像情報のうち、どこを読み取るのか、またどのような項目があるのかを教える必要があったのです。AI OCRだとツール側が自動でフォーマット情報を判別できるので、読み取り位置や項目などを登録しなくて済みます。

 

請求書・納品書・レシート・発注書などそれぞれ様式が異なる場合でも、問題なく読み取り可能です。定型・非定型に関わらず読み取れるので、文字データ化の作業効率が飛躍的に向上します。

 

 

 

 

 

 

自動化が可能


RPA(Robotic Process Automation)を活用して、業務システムとの連携がしやすくなるのも魅力です。RPAは、これまで人が行っていた作業を代行するシステムです。従来のOCRでは、データを会計システムや労務管理システムなどに登録する場合、人力で情報の整理や紐付けなどを行っていました。

 

しかし、AI OCRではRPAを活用して、データ化から業務システムへの登録まで全てを自動化できます。事前の連携設定は必要ですが、これまでデータ化にかかっていたコストを大幅に削減することが可能です。

 

 

 

 

 

AI OCRのデメリット

 

AI OCRのデメリット

 

AI OCRは、従来型よりも高い精度で読み取りができる一方で、まだ完全ではないために目視チェックが必要になってしまうというデメリットもあります。また、非対応フォーマットがあるため利用時には注意が必要です。以下では、AI OCRのデメリット2つを解説します。

 

 

 

 

目視によるチェックが必要


AI OCRは高精度な読み取りができるものの、人間によるチェックが必要ない訳ではありません。ミスが発生する場合もあるので、基本的には目視によるチェックが必要です。完全に自動化できるのではなく、データ化にかかる労力が減らせるものだと考えましょう。

 

最も読み取り精度が高いのは、現状では人間によるデータ化です。複数人で入力を行う方法や、複数回のチェックを通す方法であれば、AI OCR以上に高い精度でデータ化ができます。特に日本語は「漢字」「カタカナ」「ひらがな」「旧漢字」などさまざまな文字が混在するので、機械学習では対応しにくい部分もあることを理解しておきましょう。

 

 

 

 

フォーマットが非対応の場合がある


AI OCRのタイプによっては、フォーマットが非対応の場合があります。AI OCRは主に「定型フォーマットタイプ」「非定型フォーマットタイプ」「業務特定非定型フォーマットタイプ」の3種類に分けられます。定型フォーマットにしか対応していないタイプや、特定業務に特化したタイプだと、フォーマットによっては読み取りができないので注意してください。

 

さまざまなフォーマットの書類をデータ化したい場合は、非定型フォーマットタイプのAI OCRを導入するようにしましょう。また、手書き文字がとても多かったり、フォーマットごとに特殊な入力が必要だったりする場合は、人力でのデータ化も検討してください。

 

 

 

 

AI OCRの意味と特徴

 

OCRとAI OCRの比較

 

ここからはOCRとAI OCRの違いについて比較していきましょう。工数・対応範囲・生産性の3つの観点から比較していきますので、自社に適しているかどうかの判断材料にしてください。

 

 

工数


 

  業務工程
従来型OCR 画像読み取り、フォーマット登録、システムへの情報登録など
AI OCR 画像読み取り、業務システムとの事前登録など

 

OCRよりもAI OCRのほうが、業務工数は少なくなります。従来型OCRの場合は、まず書類のフォーマットを登録しなければなりません。どういった形式の書類で、どこに何の情報があるのか登録しなければならないのです。また、データ化した情報を業務システムに登録するのも基本的に人力となります。

 

AI OCRだと、フォーマットの設定は必要なく、読み取り箇所を自動判定できます。また業務システムとの自動連携も可能です。業務工数の削減には、AI OCRが適しています。

 

 

 

 

 

 

対応範囲


 

  対応範囲
従来型OCR フォーマット登録された書類に対応。枠線付き文字、手書き文字などは読み取り不可なケースが多い。
AI OCR 背景あり、枠線付き文字、手書き文字などさまざまなスタイルに対応。非定型書類の処理も可能。

 

従来型OCRと比べて、AI OCRのほうが対応範囲は広くなっています。通常のOCRだと、フォーマットが登録された書類でないと文字データ化ができません。どこにどの情報があるか判定できないためです。また、データベースにはない枠線付き文字や手書き文字の読み取りも苦手です。背景付きで文字情報が読み取りにくい場合も、データ化が困難になります。

 

AI OCRであれば、手書き・背景付き・枠線付きなどさまざまなタイプの資料をデータ化できます。これまでのOCRでは読み取りにくかった資料でも、処理が可能です。またフォーマットの登録が必要ないので、非定型の書類であっても読み取りができます。

 

 

 

 

生産性


 

  生産性
従来型OCR 1文字1文字、人が手打ちしていくよりも業務効率が上がり、結果として生産性も向上する
AI OCR フォーマットの検出から1次データチェックなどをツール側で行えるので、従来型OCRよりも業務効率や生産性が向上

 

より効率良く紙資料をデータ化できるAI OCRは、生産性の向上も見込めます。これまでのOCRは、紙資料のデータ化作業を効率化するのには非常に適していました。一方で、書類のフォーマットを登録したりミスの有無をチェックをしたりと、ある程度の手間はかかっていました。

 

AI OCRだと、フォーマットの識別から一次ミスチェックまで全てをツール側が行います。また、業務システムと連携してデータ登録していくことも可能です。紙資料をデータ化し、データを活用するまで全て自動で行えるので、業務効率が向上します。結果として、コア業務にリソースを割きやすくなり生産性も向上するでしょう。

 

 

 

 

AI OCRを活用できる業務イメージ

 

AI OCRを活用できる業務イメージ

AI OCRは、さまざまな書類のデータ化に活用できます。以下では、書類のタイプ別に活用イメージを紹介しますので、導入イメージが湧かない方はぜひご覧ください。

 

 

 

申込書


AI OCRであれば、さまざまなフォーマットの申込書に対応してデータ化するのが可能です。申込書には、本人確認情報・口座情報・クレジットカード情報など内容によってさまざまなフォーマットがあります。業種によっては、3種類ほどの申込書を使い分けているケースも少なくありません。AI OCRを導入すれば、フォーマットを登録せずとも簡単に書類をデータ化できます。

 

 

 

 

 

アンケート


手書き回答のアンケートも、AI OCRを活用するのが適した事例です。マーケティングリサーチや授業評価など、何らかの調査で手書きアンケートを取る企業も少なくありません。しかし、手書きだと人力で回答をデータ化せねばならず、集計や分析に手間がかかります。ミスも発生しやすく、せっかくのアンケート結果を適切に活用できなかったケースも少なくありません。AI OCRは手書き文字にも対応しているので、ミスが少なく、かつスピーディーに結果をデータ化できます。

 

 

 

 

 

 

問診票、診断書


健康診断の問診票や診断書も、AI OCRでデータ化できます。診断書は医療機関ごとにさまざまなフォーマットになっているため、社員の診断結果をまとめるのに苦労している企業も少なくありません。AI OCRを活用すれば、それぞれのフォーマットを認識したうえで、各情報を適切に処理できるので、健康診断結果をまとめやすくなります。医療機関はもちろん、社員の健康管理に力を入れたい企業にもおすすめです。

 

 

 

 

 

テスト答案


テストの答案をAI OCRでスキャンするのも可能です。社内の研修テストを手書きで実施したものの、添削や集計に時間がかかってしまうケースは少なくありません。また、団体・協会が資格試験を実施する際にも、集計に手間がかかるでしょう。ツールによってはマークシートに対応しているタイプもあり、手書きのテスト答案を素早くデータ化できます。

 

 

 

 

AI OCRの活用事例

 

AI OCRの活用事例

AI OCRを活用する事例を知っておくと、より具体的に導入するイメージが湧きます。以下では、企業や自治体のAI OCR活用事例を紹介します。

 

 

 

スルガ銀行


スルガ銀行は、顧客情報に関する書類の読み取りを効率化すべくAI OCRツール「invoiceAgent AI OCR」を導入しました。導入の背景として、マネーロンダリングやテロ資金の送金といった不正利用対策の強化があげられます。月20,000人の顧客情報を最新データに更新していくのですが、1,000人は手書き回答だったため、現状のリソースでは対応が困難でした。

 

そこでAI OCR技術を活用して手書き回答をデータ化していった結果、当初想定していたリソースの50%程度の人員で、手書き回答のデータ化が完了したそうです。手書き書類のデータ化に強いAI OCRの強みを活かした事例となっています。

 

出典:スルガ銀行株式会社が、継続的顧客管理における手書き情報のデータ化に「invoiceAgent AI OCR」を導入|PR TIMES

 

 

 

 

 

埼玉県川口市・NTT東日本


埼玉県川口市では、市役所に提出された書類の読み取りを効率化するためにNTT東日本の「AIよみと~る(LGWAN接続タイプ)」を導入しました。 背景として、支援金やワクチン接種記録などの膨大な書類を迅速にデータ化する必要が生じたことがあげられます。緊急の業務は、予算の関係で外部企業に委託するのも難しく、内製化を推し進めつつ現状リソースで処理する必要がありました。

 

AI OCRは、従来型のように職員がフォーマット登録をする必要がなく、読み取り精度も高かったことから導入に踏み切ったそうです。結果として、年間約100万枚の予診票をふくむ大量の書類を市役所内で処理できるようになったそうです。

 

出典:LGWAN対応のAI-OCRで入力業務を自動化、自治体DXを加速|NTT東日本

 

 

 

 

 

 

 

伊藤忠商事


伊藤忠商事では、業務効率化およびDX推進を目的として、ABBYY社のAI OCRを導入しました。ABBYY社のAI OCRは、定型・非定型どちらにも柔軟に対応でき、かつオンプレミスにも対応できる点が決め手だったようです。オンプレミスのツールだと、自社サーバーで運用できるためセキュリティ関連の規定が厳しい企業でも導入しやすくなります。

 

結果として、受発注に関する業務の時間を年間約4万9000時間削減することに成功しました。AI OCRは、ツールごとに対応力や運用方法(クラウド・オンプレミス)は異なるので、自社で導入する際にも必ず確認するようにしましょう。

 

出典:伊藤忠商事、RPAとAI-OCRを組み合わせて受発注業務を年間約4万9000時間削減 | IT Leaders

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

書類の処理にお困りの企業には、AI OCRの導入がおすすめです。データ化作業の効率を高めて、内製化を推し進められます。従来型よりも精度が高く、フォーマット登録の必要もないので、これまでのOCRツールを活用できなかった企業にもおすすめできます。

 

なお弊社データセレクトでは、紙書類のデータ化代行サービスを提供しています。

 

データセレクトのデータ化代行サービス詳細

 

常時70名のスタッフで対応しており、複数名入力・チェックによる高精度なデータ化サービスを提供できるのが強みです。プライバシーマークやISO27001などを取得し、監視カメラや入退館管理システムなどを導入するなどセキュリティ対策にも力を入れております。書類のデータ化を外部委託したいとお考えの企業様は、ぜひお気軽にご連絡ください。

 

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このコラムの監修者

RPA VBAプログラマー

岩佐 さとみ

VBAやRPAで年間100件以上の案件でお客様の事業を支援。
お客様のニーズを大切にし、各部署間の連携と社内DX推進も考えて改善提案したします
これまで培ったスキルと経験をもとに、貴社の業務効率化をサポートいたします。
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